Linuxは誰が開発したの?Linuxの歴史とその思想

リーナス・トーバルズ
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OSのない世界

そもそもOSはなぜ存在するのだろうか。OSがない世界とはどんな世界だったのか、その時代背景から知ることでLinuxの歴史がより深く理解できると思います。

現在では多くのコンピュータにOSが搭載され、ハードウェアのリソースとアプリケーションの橋渡し的役割を担っている。

しかし、コンピュータが登場した1940年当時、OSという概念はなく、それぞれのアプリケーションごとにハードウェアが直接繋がっており、アプリケーションがハードウェアのメモリやI/Oデバイスの管理を行なっていた。そのため、計算機用のソフトウェアは計算機用のハードウェアしか対応できず、事務専用アプリケーションは事務専用のハードウェアしか対応できない状態でした。

そのような状態では、用途ごとにハードウェアを切り替える必要があり、とても困ったっことになってしまいます。

そこでOSの概念が出てきます。つまり、アプリケーションとハードウェアの間にたち、アプリケーションごとに必要な情報を一つのハードウェアで理解できる形に通訳することで、あらゆる用途に使用できる汎用性コンピュータの実現を目指そうという思想です。

MULITCSの思想

AT&T
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そのような背景から、1965年にMITとAT&Tベル研究所とジェネラル・エレクトリック社によってMULTICS(マルティックス)というOSが構想されました。これは、今日みなさんが使用しているOSの原型にもなっています。

このMULTICSの設計思想は崇高な思想ではありましたが、結論から言ってしまうと大失敗に終わります。何と言っても求める機能が多く、当時のハードウェアをはじめとするリソースでは、無謀な設計だったのです。

そのうちにAT&Tベル研究所がプロジェクトを降り、ジェネラルエレクトリック社はコンピュータ市場から撤退します。

UNIXの誕生

Ken Thompson Dennis Ritchie
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↑ケン・トンプソン(左)とデニス・リッチー(右)

MULTICSのプロジェクト自体は失敗に終わりますが、その思想は受け継がれます。MULITICS開発時代に所属していたKen ThompsonとDennis Ritchieがベル研究所に舞い戻り、新たにUNIXというOSの開発に取り組みます。

今度はMULTICSのように高スペックで多機能なものではなく、必要な機能だけに絞り込みより軽量なシンプルなOSを実現します。

しかし、当時のAT&T社は世界最大の巨大企業、アメリカの独占禁止法によりコンピュータ産業への進出を禁止されており、UNIXを世の中に販売することができませんでした。

そこでAT&T社は、販売ではなくそのソースコードを公開し、コピー代だけ徴収して普及させるという行動にでます。これにより瞬く間にUNIXが世の中に普及し、皆がこぞってそのソースコードを手に入れ、自分の都合に合わせて改変していきます。

その結果、多くの派生版UNIXが世の中に出回るようになりました。この現象を見たAT&T社は、大きなビジネスのタネになると考えました。
AT&T社はライセンスの内容を変更し、AT&T社と契約を結んだ企業、団体のみが利用できるようにしました。これまで無償同然でソースコードを手に入れることができたものが、有償となったのです。

Linuxの誕生

リーナス・トーバルズ
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↑テッドで講演をするリーナス・トーバルズ

さて、ここからLinuxの誕生です。1991年、フィンランドのヘルシンキ大学の生徒だったリーナス・トーバルズは、当時の出回っていた派生版UNIXの機能に満足せず、自らUNIXを改変し自作します。AT&T社のUNIXはライセンス関係が複雑なことはわかっていたので、これまでのUNIX由来のものではなく、必要な要素は取り入れつつも全く違うOSをゼロから作り上げます。これがLinuxの誕生です。

リーナスが作り上げた初期バージョンのLinux version0.02は一人の天才大学生が作った素晴らしいOSでしたが、発表当初は色々と荒削りな部分も多くあったのも事実です。それでも、Linuxが現在これほども普及しているのは、それがオープンソースであったことでしょう。

リーナスは自ら開発したLinux version 0.02を皆に評価してほしいとLinuxのソースコードを公開します。

Linuxの普及

UNIXのライセンスが有償であり、商用利用が高額だったこともあり、Linuxは急速な勢いでたくさんの人に広まり、皆がLinuxをより使いやすく安定したものにしようと改変を繰り返します。

多くの有志たちの協力のおかげでLinuxは、わずか2年で実用レベルまでバージョンアップしLinux version1.0を公開します。

Linuxのその後

たくさんの有志たちの力の結晶により、飛躍的な進化を遂げたLinuxは、インテルやヒューレッドパッカードに所属するような優秀なプログラマーによる協力も加わり、政府機関にも採用されます。

その後の話は皆さんもご存知の通り、多くのディストリビューションがリリースされ、たくさんのサーバやパーソナルコンピュータに取り入れられています。

今後も多くの派生ディストリビューションが開発され、様々なシーンで活躍してくれるでしょう。Linuxはたくさんの人に届き、誰でも自由に触れる素晴らしい思想のもとに開発されたソフトウェアです。皆さんもぜひ好きなようなLinuxをいじり倒し、その歴史の一部になってください。